メイクの下手なおんな

大学生の時、

将来はヘアメイクになりたかった。

シュウウエムラのボックスに

色とりどりのmacのアイシャドウをしまい

NARSのブラシを並べてた。

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アイラインが綺麗に引けると、

その1日が完璧に思えた。

綺麗にメイクする事が生きがいだった。

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大学で、ひょんなことから仲良くなった

一つ年上のおんながいた。

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メイクがとてつもなく下手だった。

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アイラインはまつげから離れていたし

乱暴に塗るパウダーファンデーションで

なんだか粉っぽく見えた。

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それでも、

パステル調のふんわりとした服を纏い

鼻にかかった声から

いつも目が離せなかった。

彼女は時々、全てを分かっているような

目をしたから。

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彼女には慶應生の歳下の彼がいて

いつも彼女を困らせていた。

どこに行くにも付いてきて

「誰かにとられてしまいそう」

な彼女の側にいた。

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彼女と一緒に過ごす時間の中で

私は、完璧に作り込まない美しさに出会った。

そこに安心や儚さや守ってあげたい気持ち

が生まれる事を知った。

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マスカラ、アイライン、チーク、

どれかを必ず省き抜け感を出す。

肌のアラも全てはカバーしない。

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完璧な仕上がり求めているのは私だけで

メイクした顔を見てもらいたい人は

時々、それを望んでいないと気付いたから。

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ここで終わりにしたいけど、

逆パターンもある事を

もう少し大人になってから知る。

それはね、また。

いつかの話で。

“メイクの下手なおんな” への12件の返信

  1. すごーく良くわかるお話で読んでいるのが楽しくなりました。まりこ様とは世代が違いますが同じようなことがありましたので興味深く読ませていただきました。
    インスタだけでなく、ブログも楽しいですね!

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  2. こんばんは。
    真理子様の文章が好きすぎるのですが、
    どうしましょう 笑笑
    私、文章書くのが超絶苦手なんです
    小学生並みなんです…
    本当に……。

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  3. なんかもうきゅん♡とします。
    真理子様の文章はほんとにワクワクする。
    大好きです。

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  4. たまらなくキュンとしました。
    美しい情景が目に浮かび、その先が気になる短編小説を読んでるような充実感のある文章に、はぁぁぁと桃色のため息がでます。

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  5. 紡ぐ言葉がだいすきです。

    彼女に対してそんな風に思いそして気づいた事、それを今時を経て私たちに真理子様の言葉で共有して下さった事、なんだか全てが愛おしく大好きな空間です。
    今日も一日がんばって生き抜いたご褒美みたい。

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  6. スキって大切なんですね。
    男の人って
    とてもピュアで繊細ですもんね。
    スキくらいないと近づいていけないんですね。

    美しい真理子さまの
    ふんわり笑顔に
    恋をしてしまいそうな
    素敵なブログを
    ありがとうございました。

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